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山ノ内町の砂防堰堤が竣工しました
山ノ内町の砂防堰堤が竣工しました。
工事名:令和3年度国補火山砂防(事業間連携)工事 工事箇所:(砂)横湯川 山ノ内町 落合
【1.現場概要】横湯川流域は、志賀高原を水源とした急流河川で夜間瀬川上流に位置し、下流域に度重なる被害をもたらしてきました。明治39年に砂防事業を着手し、明治48年8月の土砂災害によって砂防施設のほとんどが流出し、同年10月に砂防事業が中止となりました。大正7年に地元住民からの強い要望により直轄砂防事業が開始され、昭和7年に長野県に移管、これまでに65の砂防施設が整備されています。
本工事は計画位置の地形や工事用道路の諸条件によって車両の進入が困難であり、生コンクリートの搬入に2時間30分以上の運搬時間を必要とするため ①生コンクリートを極力用いず施工可能 ②掘削土砂を有効活用 ③施工効率と工期短縮に寄与できる、砂防ソイルセメント工法の流動タイプ堰堤の施工でした。
(工事関係施設全体図)
【2.堰堤概要】(新仏岩1号堰堤)
■堰堤:透過型砂防堰堤 H=14.5m L=89.0m V=3.925m3
■砂防堰堤工 :JSウォール工法/砂防ソイルセメント粗石入流動タイプ ■鋼製スリット:J-スリット工法W=151t/現場練りコンクリート ■前処理工一式:水叩工、側壁工/現場練りコンクリート
堰堤は全国初の粗石砂防ソイルセメントの流動タイプで、製造過程の混合を2工程にすることや巨礫を堤内に事前配置することで現地粗石を最大限に活用しました。流動タイプは、転圧が困難な外部材近接部も充填が可能であることに加え、水和反応に必要な水が十分供給されるため、発現強度の問題が少なく密実で耐久性にすぐれた構造物の構築ができます。
砂防ソイルセメント工法で必要とされる内部材の配合強度は5.91N/mm2以上とし母材である土砂の粒経処理には、落ち葉や木片といった異物の除去やシート養生にて含水化の調整をするなど細心の注意を払い、全ての圧縮強度試験結果が配合強度を満足させる結果となりました。
【3.まとめ】令和4年5月から開始した当工事は、台風や大雨、大規模崩壊地の土砂流出による土石流にも見舞われることなく令和6年1月に無事故で予定通り竣工を迎えることができました。無事に竣工を迎えることができたのも和合会様、渋温泉旅館組合様、一ノ瀬旅館組合様、沓野区様、北信漁業協同組合様、地獄谷野猿公苑様、後楽館様、多くの関係者の皆様のご理解とご協力があってこそだと感じています。また、発注者様、山ノ内役場様、工事施工に携わった関係各社の皆様、2年間ありがとうございました。